不思議で怖い話

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ともだち

2019/05/29

なんか思い出した、子供のころの妙な友達。
自分、両親共働きで鍵っ子。
とは言っても託児所みたいな所で遊んで帰って、
家で一人でいるのは一時間も無い。
んで、その一時間がその『ともだち』との交流の時間。
うちに何故だか有った腹話術用の人形なんだが、
そいつは何故か妙にお洒落で、子供心に美形な15歳ぐらいの顔の人形だった。
どうやら両親が古道具屋で惚れて買ってきたらしいんだが…
そいつはすごいお喋りだった。
いっつも和室のタンスの上に置いてあったんだが、
さすがに自立は出来ないらしく、俺が来るとクイっと足を組んで、組んだ上に両手を置く。
超気取り屋。超キザっぽかった。
で、いろんな話をしてくれた。と言ってもいつも彼の体験談。演じた劇のお話とかそんなん。
(おかげさんで俺は、ろくに本を読まないのに童話とかには超詳しかった)
で、ある日。何時もどおりに『ともだち』と他愛の無い話をしてたんだ。
そしたら、妙な事を言い始める。
「さて。そろそろ僕たちもお別れだ。○○(俺)にはやらなきゃいけないことがある。
遠足の準備をしな。ありったけのお菓子をリュックに詰めて、お布団の近くに置くんだ。
大事なものもリュックに入れて、いつでも遊びにいけるようにね。着替えも近くに置いとくといいね。
僕?僕も行くよ?でも○○とは違う。うん、ここより面白そうな所だ。うん。きみより面白いよ」
とまあ、こんな意味合いと調子で。
で、俺は当時非常にアレな子供だったから、遠足の言葉に喜んで、
リュックにお菓子詰め込みまくったさ。
おかんとかは、また俺の奇行かと思って流してくれたが。
で、その日寝てると、急に両親にリュックと一緒に連れ出された。
俺は寝ぼけてわからなかったけど、地震らしい。
いわゆる阪神大震災。家は盛大に半壊。
『ともだち』は行方不明。
服の生地すら見つからんかった。
そんなかつての友を思う不可解な話。

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