不思議で怖い話

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山小屋のラジオ

2023/07/25

あれは確か1977年の7月下旬から8月上旬でした。
私は友人と3人で北アルプスの裏銀座コースという3000m級の尾根を縦走していました。
縦走というのは山の頂上を巡り歩く山登りのことです。
第2泊目、野口五郎小屋という所に泊まったのですが、割合すいていて、自家発電による電灯、TVもあり、食事も良く快適でした。

それでも登山者は早朝に出発するものですから夜9時前には消灯して寝るのが普通です。
寝るところはセンベイ布団はありますが、いわゆるザコ寝です。

皆が寝入って静かになった頃、ラジオを聴いているヤツがいるのです。
小さな音でしたが、静かなだけに気になりました。

皆が疲れているのに迷惑だな、と思いながらもそのうちスイッチを切ってくれるだろうと待っていました。
しかし、だんだん腹が立って、起きあがって小屋の従業員に、注意してくれるように言いに行きました。

しかし、誰もラジオなど聴いている客などいなかったのです。
他の客も起き出して調べたところ、あるリュックの中のラジオが鳴っていたことがわかりそのスイッチを切って事は収まるはずでした・・・

従業員がぽつりと漏らしました。
そのリュックの持ち主は今夜の客の中にいないんです。
恐らく本人の荷物を置いたまま、身軽で下山したのではないか、と言うのです。

野口五郎岳から一日で麓に下山できるコースはありません。
夏場とはいえ装備無しで下山するなど自殺行為とも言えます。
ラジオのスイッチはずーと入りっぱなしだったのかもしれないし、荷物を動かした際に入ってしまったのかもしれません。

静けさの暗闇の山頂で聞こえたラジオは、電波状況のため音量にウェーブがかかっていて、断片的に番組提供者名が聞こえていました
「・・・霊友会です・・」

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