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平成生まれのコージくん

2019/07/18

誰にも話してないから、具体的に書いても身元割れないな。
元号が平成に変わった翌日、だったと思う。
当時厨房だった自分は高校入試を控えていて、
新宿の住宅地にある塾にいつものように通っていた。
対面から母子連れが歩いて来て、
子供のほうは二歳くらいの男児、
母親はうろ覚えだがたぶん20代後半くらいだった。
その男の子があんまり可愛かったんで、
(いわゆるショタロリではない)
自分は勝手に、その子に『平成生まれのコージくん』と名付け、
心の中で
「コージくん、これからの人生強く生きろよ」
などと励ましていた。
普段はそんなことしないけど、時代が変わった空気のせいか、
一人で幼い子の手を引く母の姿に、感慨深いものを抱いていたわけで。
その時は何事も起こらず、
当然会話のようなものもなく、ただすれ違って終わり。
自分の中でも、とるに足らない一時の遊びみたいな感覚だったが、
たまーに、本当にごくたまにコージくんのことを思い出しては、
今頃彼は小学校にあがったかなーとか、
そろそろ中学で反抗期かな、なんて想像をしていた。
ちなみに、コージくんて名前は、
当時ファンだった西武の秋山選手の名前から付けただけ。
よく考えたら、平成になった翌日のことなんだから、
コージ君は昭和末期生まれなんだが、
一人で心中で遊んだだけだから、別にたいした問題ではなかった。
コージくんのことなどほぼ忘れかけた平成17年の夏、
仕事で神戸に滞在していた自分は、
コンビニで煙草やジュースを買った。
レジの茶髪の若い店員が、
「○○円になります」
と対応した。
品物を受け取り、その場を去ろうとした瞬間、
レジの若者がこっちに向かって笑いながら、
「どーも。平成生まれのコージです」
と言ってきた。
一瞬、頭の中が???状態になって立ち止まった。
が、その後すぐに、
「あ、あ・・あ、どーもー」
と愛想笑いを浮かべて逃げるようにコンビニを出た。
自分は、親にも友人にも、
誰にも一切コージ君の話はしていないし、
誰かが知るよしもない。
まして見ず知らずのコンビニ店員が、
なぜ自分にそんな挨拶を唐突にしてきたのか?
いまだにわからない。
唯一の後悔は、
なぜその場でもっと店員と話さなかったか、
ということだ。

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