不思議で怖い話

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颱風のおっちゃん

2019/02/08

俺の近所に颱風になると必ず現れる不思議なおっちゃんがいる。
上下を濃いグリーンの雨合羽を来て暴風雨の中、
住人に警鐘を鳴らすのだ。
「川の水量が増してきたぞ~~気を付けろー!」
「風がひどいぞ~!屋根飛ばされんようにしろよ~!!」
などなどアドバイスをしながら町内を歩き回るのだ。
毎年毎年現れるので、
近所の住人は気にもせず逆にもてなそうともしてたようだ。
事実うちでも麦茶とお菓子ぐらいは。
と思い用意をしたのだがいつも
「自分は忙しいですから。また呼ばれます。」
と言って暴風雨の中警鐘を鳴らしに行くのだ。
そんなおっちゃんの秘密を知ってしまったのは去年のことだった。
台風一過の晴天の中、おっちゃんが俺の前を歩いていた。
こんなに天気がいいのに雨合羽脱ぎゃいいのに思った。
そう、おっちゃんは快晴の天候にも関わらず、
やっぱり濃いグリーンの雨合羽なのだ。
知らない人でもないので声をかけてみようと思い少し近づいた。
だが、そこで俺の勘みたいなものがブレーキをかけた。
「そういえば毎年くるけどおっちゃんの顔を知らないな。」
「普段は何してるんだろう?」
「なんで颱風の時になると現れるんだ?」
「自治会の人かな?」
ブレーキかけつつ、おっちゃんに近づく俺。
近づくにつれ、むっと獣の匂いがした。
外飼いの大型犬のような匂いを湿っぽくしたような匂い。
何だこの匂い?
きょろきょろ辺りを見回すが
犬を飼ってるうちは見当たらないし、
そんな匂いの元になるものは無かった。
やっとおっちゃんに追いつき、
「こんにちわ!いい天気になりましたね!」
と声をかけるとこちらを振り向かずに手を挙げて
「そうですね」
と答えてくれた。
俺はくるりと踵を返すとダッシュでその場を離れた。
おっちゃんの手には茶色い毛が生えていて、
指の間に水かきがあった。
爪も獣の爪だった。
今年の颱風の時もおっちゃんは現れた。
だが俺はあえて無視した。
母親にお茶も出すな。と釘をさしておいた。
おっちゃんの正体が分かって、もてなせるか?
そんな剛毅な人に俺は会いたい。

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