つるんとした顔
2025/07/31
先日、皇居の内堀を歩いていた時のことです。
少し酒が入っていた事もあり、いい気分でフラフラと歩いていました。
永代通りとの交差点を過ぎ、そろそろ疲れてきたので竹橋か東西線にでも乗ろうと思っていたところ
堀の渕に若い女性がしゃがみこんでいるのが目に入りました。
近くまで行ってみると、その女性は泣いているようでした。
こんな夜遅くに女性が一人でいるのは危険だろうと思い、声を掛けてみることにしました。
「あの、大丈夫ですか?夜遅くに女性の一人歩きは危険ですよ」
こう話しかけたところ女性の泣き声はやみ、こちらを振り返りました。
そこで見たものは生涯忘れることはできないでしょう!
女性の顔には目も鼻も口もなく…まるで卵のようにつるんとしていました。
私は年甲斐もなく悲鳴を上げ、逃げ出してしまいました。
あれは何だったのでしょう?あんな恐ろしいものは見た事がありません。
10分は走ったでしょうか、おでん屋の屋台の明かりが目に留まりました。
私はそこに駆け込み助けを求め、、先ほど見た女性の話をしました。
話している間、店主や他の客は返事一つせず、顔もよく見えません。
話を終えた時、ようやく店主が口をききました。
「それは恐ろしい目に遭いましたね。ところで、その女性はこんな顔だったのでは…?」
店主はいきなり顔を近づけてきました…!その顔は…!
先ほどの女性と同じ!目も鼻も口もありません!
他の客もこちらを向きましたが彼らも卵のようにつるんとした顔をしています。
私は恐怖の限界でした。悲鳴も上げず、そのまま失神してしまったのです…
気がつくと、辺りは明るくなっていました。
あんな恐い目にあったのは初めてでした。
以上です。