不思議で怖い話

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お石様

2024/07/14

俺が小学生の頃の話。

山に囲まれた閉鎖的な田舎町。
家の近くには木曽川と、それに合流する支流の川がありよく河原で遊んでた。釣りをしたり、うなぎの仕掛けをしたり。
水遊びや石投げとか1人でも飽きる事無く遊んでた。

夏休みのある日、数日前に雨が降り上流のダムの放流増水した川も、いつも通りになった頃
1人で河原に、面白そうな漂流物でも流れてきてないかと遊びに出かけた。
票流木や、なんか変なゴミとかでも興味深々で見つけては手に取り、ポイして次を探した。

その時、ソフトボール大位で平べったい石を見つけ何気に手に取ろうとした時、「あきら~」(俺の仮名)って、耳をつんざく位の大きな祖母の声がした。
一瞬、ビクッとして、振り返ったけど祖母はいない。まわりをきょろきょろしても姿は見えない。
たしか祖母は家にいたはずで、家から遊んでる河原までは小5の足で10分位の場所。
家から怒鳴っても聞こえるはずがないし、耳をつんざく位の声だから、近くにいるはずなのに姿はない。

やぶに隠れてるのかと探したりしたがいない。
「おばあ~ちゃ~ん」って叫んだけど返事はない。
気のせいだったのか、夕立ちの雷の音を聞き間違えたのか位でまた遊びはじめようとして、さっきの石を探し始めた。

その石はすぐ見つかった。そんなに特徴あるわけでもないのになんかその石だけ目立っててスポットライトを浴びてるような感じでまわりから浮いていた。
で、その石を拾おうと手を伸ばしかけた時、「あきら~」って祖母の大きな声がした。
振り向いたら、まだ距離はありそうな所に祖母がこちらに向かって走ってくる姿が見えた。

えっ?ばあちゃん足はえ~!あそこからあんな声出せるなんてスゲ~(笑)って感じで見てたら、
凄い勢いで走り近づきながら、「あきら、その石さわっちゃいかん、こっち来いあきら」って。
向かうも何も、すぐ側まで来てたから、あっという間に俺の手を掴んで抱き寄せられた。
「おばあちゃん、体痛いって、ちょっと離してよ」って言いながらもがいたら、「間に合った~」って力が抜けてった。俺の手はしっかり掴んでたけど。

俺とばあちゃんが、さっきの石の近くまで行って話しはじめた。
「あきら、さっきの石その石だろ」
指がさしている先にはその石があった。
「その石、よ~く見てみ、人の顔に見えんか?」
さっきまで全然気づかなかったけど、よく見るとおうとつが歪んだ人の顔に見えてきた。
ってか、たしかに歪んだ顔だ。えっ、さっきは平べったかったはずなのに。
「あきら、あきらはその石に呼ばれたんやよ。拾ってくれって。手にしてくれって」
おばあちゃんが何を言ってるのか解らなかった。怪訝そうな表情をしていたのか、続けて話し始めた。

その石はな~、「お石様」ってよばれてるやつでな、漢字で書くとまだ習ってないかもしれんが、
汚い心や汚い思いって書いて「汚意志(汚意思)」とか惡い心、惡い思いで「惡意志(惡意思)」って書く、触っちゃいかん呪われた石なんよ。
いつ、誰が、何のためにこんな穢れた石を作ったのかは解らんが、大雨が降った後とか、たま~にこうやって見つかるんよ。

子供にこんな話していいか解らんが、おととし近所の家に大学生のお兄ちゃん来てたの覚えてないか?
夜中に救急車で運ばれたんじゃがその晩亡くなったんよ。
そのお兄ちゃんの家は都会だったから葬式はこっちじゃやらんかったから亡くなった事知らんかも知れんが。
そん時も「汚意志様」触ったって言とった。

あきらが持ってかれんでほんと良かった。台所でカレー作っとたらいきなり仏壇のおりんが鳴ったんよ。
いつもの綺麗な音色じゃなく悲鳴みたいに鳴ったんよ。
誰もいないのに。すぐあきらが大変じゃ~って、なんか解らんがそう思って心の中で叫んだよ。
いや、本当に叫んだんかもしれんが。
どこにおるかなんて解らんはずなのに呼ばれるように走りだしたら、胸糞悪い気配ですぐ気付いた。間に合ってよかったな~
って、なんか気持ち悪い事を話してくれたけど、なんか助けられたような気持にはなった。

閉鎖的な田舎で、犬憑きや動物憑きもまだやってるような地域だったから、オカルト的な怖さは感じなかった。
都会ならこの経験談を自慢話で友達にするんだろうけど、田舎でこんな話しはできない。
当たり前のように生活の一部にそういう慣習がある地域だと、家族以外にその手の話しをするのは控える。
それは、「何か企んでる・誰かを呪おうとしてる」って勘ぐられるからだ。

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