不思議で怖い話

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仮眠していた場所

2020/10/23

もう10年くらい前の話なんだけど、当時働いていた職場は変則的なシフトでその日は昼過ぎから21時という勤務だった。
翌日から土、日、月という三連休の前の晩ということでテンションが上がりまくっていた。
給料日だったし些細な日常の小さな幸せってやつだ。
俺は運転免許を取るのが割に遅くて、当時は免許取得後2年くらいしか経っていないこともあり、よく深夜にあてもないドライブに出かけてた。
行き先も決めずに2~300km走って帰るという密かな楽しみを持ってた。

そんなこともあり、勤務後21時になるといつものようにドライブに繰り出した。
三連休前ということもあり、いつもよりも遠くに繰り出そうかとしばし高揚した気分で車の中で計画を練っていた。
「青森まで行っちまうか?!」思いつきだが、関東から青森までは高速で6時間もあれば行ける。夜明け前には到着する計算だ。休みはたっぷりある。
俺はすぐに高速に乗り北に車を走らせた。

とは言え高速の単調な道を4時間も走ると仕事疲れもあり強烈な眠さが襲ってきた。
とりあえず高速を降りて近場の道の駅まで向かうことにした。
知らない土地だが、道の駅は山を1つ超えたところにあり、山道に入った。
しばらく車を進めると道幅がどんどんと狭くなり、ついに対向車が来てもすれ違えないほどになっていた。
おまけに霧もかなり濃く、視界は2m先がやっとというほどだった。
ただでさえ危険な道ということもあり集中して運転するが、いかんせんかなり眠く現実的な危険を感じていた。
しかし道幅が狭くなってからすでに2~3km進んでしまったこともあり、Uターンもできず、かといってバックのまま戻ることも不可能だった。
道の駅まではまだかなりありそうだ。
とにかく少し開けたところまで出たら2時間でも仮眠を取ろうと思い、車を走らせた。

しばらく寝ぼけ眼で進んでいくと、先にうっすらと黄色い街灯のようなものがいくつか見え、砂利混じりの砂地のような開けた場所に出た。
霧でよく見えないが、周りには何台か車が停まっているようで、上空の霧が若干薄くなっているところに大きな建物のようなものも見えた。
山を越えるトラックもいるだろうし、ドライブインか何かの施設だろうと若干後ろめたさは感じたものの、朝が来るまでのしばしの仮眠場所として借りることにした。
リクライニングを倒し、車に積んでいた毛布を頭からかぶりすぐに眠りに落ちた。

どれくらい寝たのだろうか、工事現場のようなやかましさを感じ目を覚ました。
毛布の外はすでに明るく、昨夜の霧から考えても快晴であることは想像に難くない。
ぼーっとしながら携帯を見ると10:00を回っていた。
仮眠のつもりが6時間近く眠ってしまったらしい。
まだ眠気はあり二度寝しようかとも思ったが、出先でずっと寝てるわけにもいかないし、なにしろ外がやかましい。
一度車から降りて体を伸ばした後、すぐにここを出ようと毛布をとった瞬間、自分の置かれている状況を一瞬で理解し、うわずりひっくり返った声で悲鳴をあげ、パニックになった。
今まさに二台隣の車が巨大なクレーンに吊し上げられプレス機に放り込まれていた。
瞬時に車を降りようかと思ったが、巻き込まれたら一巻の終わりだ。
すぐにエンジンをかけ、アクセルベタ踏みで逃げるようにその場を離れた。
半狂乱状態のままいつこのフロントグラスを鋭利な重機が突き破ってくるかという恐怖しかなかった。
背後から鳴り響いていた非常用サイレンのけたたましい音は今でも夢にみるほど鼓膜に焼き付いている。

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