不思議で怖い話

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二年前に父が他界した

2019/09/14

別に怖くはないけど実話です。
二年前、父が他界した。
糖尿病による心筋梗塞だった。
その一週間前に、俺は妻と子供の顔を見せに実家に行ったんだ。
父は足腰が弱っていて半寝たきりの状態だった…そのため子供と出掛けたことがなかった。
いつもあまり長い時間は実家に居なかったので、子供は父が怖かったらしく抱っこすると泣いていた。
しかし、その日は違ったんだ。
泣くどころか笑顔で髭を触り、捕まり立ちをしだしたばかりなのにちゃぶ台に捕まり踊っていた。
父も嬉しかったのだろう。
目を真っ赤にして笑っていた。
いつもは何も言わないのに、「来週またこい」と言った。
俺は嬉しかった。
妻も初めての言葉に驚きつつも嬉しそうだった。
それが俺には最後の言葉だった。
一週間後の仕事中、姉より携帯に連絡がきた。
父が風呂で気を失っていて、病院に運ばれたとのこと。
姉の泣きながらの電話だった。
俺は覚悟を決め病院に向かった。
その途中で妻に父が「タオレタ」と伝えた。
信じたくない気持ちもあり、妻には待機するように言った。
しかし、病院に寝ている父の顔には白い布がしてあった…言葉にならなかった……その時妻から電話が来た。
妻『お父さん、大丈夫?〇〇ちゃん(子供)が踊りながらバイバイって喋ったんだけど…』俺「…………」妻『それと、そっちに行こうと思ってるけど、家の鍵が無くなった』俺「…ゆっくりいいよ。俺も間に合わなかった」その後、妻と子供が病院に着いたのは二時間後だった。
三十分あれば着くのに。
どうやらタクシーとトラックが正面衝突して渋滞していたらしい。
後からニュースで知ったが、事故は妻達が家を出ようとしていた時間帯のタクシーだった。
そして、無くした家の鍵はなぜか子供が持っていたらしい。
なんでも、鍵をかけずに行こうとしたら、子供が泣き出して行けなかったらしい。
妻「あの時、〇〇ちゃんはおじいちゃんと話してたのかな……?」俺は鼻水垂らして泣いた。

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