不思議で怖い話

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運命を変えた

2019/07/16

私は一度だけ、運命を変えた事があります。
それは中学生の時でした。
当時私は古いアパートに住んでいて、両親は共働きで、
二人とも朝がとても早く、まず父が明け方に出かけ、
それから少しして母も続き、
学校に行く私が一番遅い外出をする、という感じでした。
なので母からは常に、
火の元だけはきちんとしておくようにと
言い聞かされていました。
にも関わらずある日、朝食後、
ガス栓を開けたまま学校に出てしまい、
帰ってきた時にはアパートは火の海でした。
私達の家族は皆無事でしたが、
別の部屋では死者も出たような惨状で、
父は呆然、母は泣き崩れていました。
私は後悔してもしきれず、
これからどうすれば良いんだろう、
これからどうなるんだろうと絶望のどん底にいました。
そして一先ず、祖父の家に泊まりました。
その日の夜中、泣き腫らした目が痛くて目覚めると、
枕元にボヤッと青く光る何かがありました。
私は本当に無意識に、それに触りました・・・
そしてほんの数回瞬きした瞬間、
あのアパートの部屋(リビング)に私はいたのです。
!?と思い、1~2分ぐらいその場で固まっていましたが、
ふと玄関を見たとき驚愕しました。
私がいる。
玄関に、靴紐を結んだままの姿勢で固まったままの私がいたのです。
恐る恐る近付き、触ってみましたが石のように固く、
人間の感触のそれとはまるで違うものでした。
そこで初めて周りがおかしい事に気付きました。
景色の『色』が何だか薄いのです。
全くの無色、白黒、という訳ではありませんでしたが、
昭和の写真のように全てが色褪せたような景色でした。
私は後退りしながら、ひとつの考えを抱いていました。
まさか・・・とは思いましたが、
ガス栓の所に行くと、やはり閉まっていませんでした。
そして、それを見つけた途端、猛烈な頭痛に襲われました。
堪らず頭を押さえつつも、
私は自分があの瞬間に戻っている事を確信しました。
あれを閉めなければ。
早く。早く。
私はキッチンのふちに手をかけ、
何とか立ち上がろうとしました・・・
結論から言うと、
私は高校生の終わりまであのアパートまで暮らしました。
アパートが爆発し火災になった事実はなく、
平穏な暮らしを続けられました。
あの日の朝目覚めると、
祖父の家には顔だし程度に一泊していた事になっていて、
私は唖然としながらも、こんな事など誰にも説明できず、
でも『助かった』『よかった』という、
よく分からないモヤモヤを抱えて暫く過ごす事になりました。
何がきっかけで、あの過去、
あの瞬間に戻れたのかは分かりません。
ただ、自分の記憶には確かに、焼け焦げたアパートの残骸、
泣く母親、あの絶望感が未だに残っています。

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