不思議で怖い話

不思議で怖い話

本文の文字サイズ

もう一人の私に呼ばれる

2019/07/05

一年ほど前、母と体験した話です。
最初に事が起きたのは、
私が二階の自室でゲームをしていた時の事です。
一階の居間にいた母がノックもせずに
私の部屋に入って来て、
「あんたさ、今起こしに来た?」
と突然聞いてきました。
「いや無理だし、ゲームやってんじゃん」
と言うと、怪訝な顔で
「いや、耳元であんたが呼んだから起きたんだけど…
やだねボケてんのかね私」
と言って、部屋から出て行きました。
その時は私もただの寝惚けか、と納得。
しかし、二度目は私が外出中、
母は台所で料理中。
この時もやはり私の声で呼ばれたのだそうです。
帰宅してからその事を聞いたものの、
やはり気のせいだろうということで終わりました。
そしてついに三度目。
私は自室で寝ており、
母は夜食を楽しんでいた時のことでした。
また、聞こえたのだそうです。
私と全く同じ声のトーンと口調で
「お母さんっ!」
と。
私は叩き起され、興奮気味に
「聞こえたんだって本当に!」
と何度も言う母を相手にしながら、
2つの可能性をぼんやり考えていました。
1、ついにボケた。
2、バニシングツイン。
2番目の言葉は御存知ない方もいらっしゃると思います。
文字通り、『消えた双子』です。
私は中学生の頃に、
左腕に腫瘍が出来て手術を受けたことがあります。
何か二の腕が腫れているな、とは思っていたのですが、
ある日突然ひっくり返るほどの激痛が走り
救急車で病院に運ばれ、即手術となりました。
切除した腫瘍の中からは、
魚より少し太い骨や細い髪の塊などが出てきたそうです。
あまりにショッキングなものだったので、
今は亡き父しかその実物を見ていないのですが、
話はよく聞いていました。
母が私を妊娠した時には確かにいたのに
すぐ消えてしまった、
もう一人の母胎内の同居人の事を。
2人で産まれるのが困難な場合、
どういう訳かどちらか一方が消え、
片方に産まれる権利を渡すのだそうです。
通常は母親の胎内に吸収されて消えるのですが、
稀にもう一人の方に吸収されてしまう事があるそうで、
私達はそのパターンでした。
そんなこともあり、
「あの双子の子、かな?」
と何となく口に出してみました。
少し母の顔が曇ったのを見て、
若干後悔のようないたたまれなさを感じましたが、
母はボケるにはまだ早すぎるし、
私自身口に出した瞬間、
その答えが不思議と一番しっくり来たのです。
母は少し笑いながら
「そうかもしれないねぇ」
と言って、また居間に戻りました。
その後、母がもう一人の私に
呼ばれることはなくなりました。
本当に私を生かしてくれた双子の声なのか、
今もはっきりとした答えは出ていません。
でも、私にはどうしても、
あの子が忘れられるのが嫌で
母を呼び続けていたのではないかと思えてなりません。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

怖いコミック

  • スマイリー
  • 恵と笑光による心笑会殲滅作戦、それは笑光自らの死と引き換えに信者達を道連れにする事だったーー。続々と命を絶つ信者達…眼前の光景に信じ難き驚愕で固まる幸福の案内人…そこに現れた鴨目...
  • たちよみ

怖い映画作品

  • 間宮夕貴 やわらかい卵 〜映画『甘い鞭』より〜
  • ショッキングでエロティックな大石圭の原作を石井隆監督が映画化した『甘い鞭』のメイキング。隣家に住む男に拉致監禁され、男を殺害し生還した奈緒子。得体の知れない快感を覚えてしまっ...
  • 2013年 / 間宮夕貴(最上ゆき)

怖い作品

怖いキーワード