土手の向こう
2019/06/27
幼稚園の頃、お盆で鹿児島の田舎に親と帰った時の話。
山の奥にじいちゃんが耕している畑があって、そこに親戚たちと手伝いに行った。
親戚達が畑仕事をする中、俺はぶらぶら遊んでいたんだけど、畑の奥にちょっとした土手があるのを見つけた。
向こうに何があるのか見たくて背伸びしていたら、近くにいた親戚?の女性がだっこしてくれた。
そこからの景色は、眼下に平地が広がっていてはるか彼方に海が見えていた・・・
20年後、久方ぶりにじいちゃん達の墓参りのため田舎を訪れた。
つい懐かしくなり、まだ残っているという山の中の畑に行ってみた。
畑は荒れていたけど、懐かしいじいちゃんの畑だった。奥の土手まで行って妙な事に気が付いた。
もうだっこされなくても土手の向こうが見えるのだが、目の前にはただ大きな山が鬱そうとそびえているだけだったのだ。
そういえば田舎は川内市の山奥で海など見えないの所だった。
あの海とあの女性は一体何だったんだろう?




