不思議で怖い話

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団地の子

2019/06/24

子供の頃の話です。
当事者ではなく、傍観者の話ですみません。
当時は新興住宅地が各地に建設されていて、
私もそこに住んでいました。
その地区のはずれに大きな団地がありまして、
学校が終わるとよく友達と
その団地の前にある広場に集合したものです。
ある日、いつものメンバーの中にK君がいません。
必ずと言っていいほど毎日来て、
けっこうリーダー的な存在のK君がいないのが不思議で、
友達に
「なんで今日、K君いないの?」
と聞いてみましたが、皆わからないようでした。
確かに学校には来ていたのですが…。
その翌日もK君は広場に来なかったので、
学校で彼に聞いてみました。
すると…
「今、親に外に遊びにいくの止められてんねん」
と言うのです。
どういうことか?と問いただすと…以下、彼の話です。
K君が遊びに来なくなった前日、
皆が帰ったあと、いつも見ない女の子が残っていたそうです。
彼は『団地の子だろう』と思ったのですが、
その女の子が
「こっちに面白いのがあるよ、ついてきてよ」
と言ったのだそうです。
スケベ根性があったのか、
K君は怪しむこともなくついっていったのが、
その団地の一室のよう。
確かにその日、解散したあと、
K君がふらふらと団地に行くのを私は目撃していたのです。
「な~にやってんのかなぁ、Kは…」
と思ったのですが、空腹に負け、
そのことは気にしていませんでした。
ただ、K君が見たという女の子は見た記憶はありません。
そして…K君は団地に入ってから記憶が飛び、
十数km離れた神社の森あたりにいたそうです。
運よく夏至近いころで夕方でも明るかったため、
彼は混乱するも近くに交番に行って、
親に迎えに来てもらったそうなのです。
親は誘拐ではないかと思っていたようで、
K君の外出は禁止となったというこです。
その後、中学校でK君とは別々になって、
音信不通になっていたのですが、
高校の頃、駅でふと見かけたK君はかなりやつれてて、
別人のようになっていたのを覚えています。
で、つい最近、実家に帰って、
当時区長をやっていた人と話すことがあったのですが、
驚く話を聞くことができました。
新興住宅地の開発が進んでいた当時、
かなり奇妙なことが起こり、
K君みたいな事件も、
自分が把握しているだけで5件くらいあった。
一人は見つかっていない…と。
それが本当なのか、
今でも見つかっていないのかはわかりません。
そういえば、K君のことがあってから、
学校では
『誘拐事件もあるから、早く帰りなさい』
という注意もよく言われていたように思いますが、
あまり注意力のない子供だったので、
ほとんど気にしていませんでした。
実家に帰ったついでにその団地に行ってみましたが、
既に取り壊されており、だだっ広い駐車場になっていました。
そこで、例の神社にも行ってみました。
特に怪しい雰囲気はないんですが、
ただ、森の中に子供サイズの
小さな草履が落ちていたんですよね。
そして帰り際に、駐車場に停めておいた
車の上にやけに葉っぱが乗っていました。
それが何となく不気味でした。
ただの偶然でしょうが。

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