不思議で怖い話

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シルシ

2019/06/19

むかし、仕出し弁当屋で配達のバイトをしていた。
たまに妙な客からの注文があった。
怪しげなセミナーだったり、
何かの撮影現場だったり。
お葬式の会場に運ぶことも多かった。
あるとき、郊外の小さな町へ弁当を届けに行った。
そこでお葬式が行われていた。
よくあるお葬式で何も変わったことはなかったのだが。
次の週にも、その地区へ弁当を届けに行った。
やっぱりお葬式だった。
代金を払ってくれたのは、
前回と同じおばさんだった。
前回は地区の施設を使ったお葬式だったが、
今回は故人の自宅らしかった。
その次の週はシフトに入っていなかったが、
更に翌週はまたもその地区へ配達に行った。
あとで帳簿を見せてもらったら、
5週連続で注文が入っていた。
お客さんの名前も注文の数もいつも同じだった。
注文しているのはあのおばさんかも知れない。
今回も故人の自宅でのお葬式で、
あのおばさんが会計をしてくれた。
聞いちゃいけないような気もしたけど、
つい聞いてしまった。
「最近、こちらでお葬式が多くないですか?」
一瞬、おばさんの顔がこわばったように感じた。
おばさんはだまって空を見上げた後、
おかしな事を言った。
「そうだね。毎年この時期はね」
「毎年なんですか?」
「次はあの家だよ」
おばさんは無表情に
通りの向こうのある家を指さした。
見ると、その家の玄関脇に
赤い30cm四方くらいの紙が貼ってあった。
何か丸い記号のようなものが書いてあった。
そう言えば、今いるこの家にも
玄関に紙が貼ってあった。
「あの赤い紙は何なんですか?」
「そういうシルシだよ」
もっと聞こうと思ったが、
「もういいから帰りなさい」
と言われてしまった。
そのあと、やはりその地区で
同じおばさんから弁当の注文があったらしい。
気味が悪かったので、
自分はその地区への配達を避けた。
しばらくしてそのバイトは辞めたので、
弁当の注文がいつまで続いていたのかはわからない。
おばさんの話が本当なら、
今年もあそこで毎週お葬式が行われているのだろう。

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