不思議で怖い話

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不良グループのリーダー

2019/05/21

俺が中学までいた田舎には、
漫画の中でしか出てこないような不良が未だに生息しててね。
ボンタン、短ラン、エナメルベルト、ツッパリ上等リーゼント、
超薄い学生カバンと、身を固めるアイテムも1世代前。
しかしなんというか、どこか憎めない連中だったんだ。
地域密着型というか、地元の人も、
「おうガキども、タコヤキ作りすぎたから食っていけ!」
「おう、ゴチになるぜオッサン!」
みたいな感じで交流してるというか、
ちゃんとスジの通ってる連中だったんだよ。
(だから高校になって田舎を離れ、町にいる不良連中を見たときに、
『なんて野蛮なんだ』って思ったぐらいだし)
ある日、そんな不良グループが、
通学路の小道(近道の1つ)に集まって通せんぼしている。
ウンコ座りしてる連中が、
その道を通ろうとしている下級生とかに
ガンを飛ばして遠回りさせていた。
その中にクラスメイトがいたんで、
「え、この先でケンカでもしてるの?」
と尋ねると、首を横に振られた。
「Aさん(上級生で、不良グループのリーダーやってる人)が、
ここ誰も通すなって。あぶねーからって」
「なんかAさんがB爺さん(ウチの中学で教頭もしている住職)呼んでるってよ」
そう言うクラスメイトや不良たちは、少しビビってる感じ。
確かにこの小道では、ここ最近小さな事故が頻発していた。
子供が側溝に落ちて頭を怪我したり。
そうこうしてると、B爺さんを連れたAさんがやって来た。
リーゼントの不良と坊さん姿の年寄りの組合せは、なんとも奇妙だった。
その2人だけで小道に入ると、B爺さんの
「成る程なぁ」
という声が聞こえ、続けて読経が始まった。
かなりの時間が過ぎて2人が小道から出てくると、
Aさんが「もういいぞ」と不良グループを解散させる。
B爺さんもAさんに、
「わざわざスマンかったな」
と声をかけて帰っていった。
それから不思議とその小道で事故は起きなくなったが、
B爺さんがマメに足を運んで読経し、お供え物を上げていた。
10年たって、そのときのクラスメイトに話を聞いたんだけど、
Aさん高校受験に失敗してB爺さんの寺で世話になったあと、
県外にある同門の寺へ修行しにいったらしい。
クラスメイトは
「あのAさんがなぁ」
と言ってたが、俺はなんとなくピッタリだと思った。

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