不思議で怖い話

不思議で怖い話

本文の文字サイズ

お遍路さん

2019/04/27

去年の夏に田舎へ帰る途中で体験した事なんだ。
車で田舎まで2時間半程度なんだけど、
流石にずっと運転はしんどいから途中コンビニで休憩してた。
軽く体操して目薬差してお茶飲んで・・・ってしてたら、
東の方からお遍路さんが歩いてきた。
まぁ夏はお遍路さんも増えるから
気にもならずいつもの光景・・・だったんだけど、
よく見ると人の形をした藁?みたいなのを背負ってる。
店の入り口で荷物を置いて、
そのお遍路さんは飲み物を買いに行ったみたいだった。
あんまりジロジロ見るのも失礼だと思ったんだけど、
その人形はなんていうか、
人形と言うよりも人を藁で覆った様な、そんな不気味さがあった。
なんで人形を背負って・・・?と、
すごく気になってジーっと見てた。
するとコンビニから出てきたお遍路さんが
オレの視線の気がついたみたいで、
荷物の中に買い貯めした飲み物を入れながら話しかけてきた。
「なぜ人形を・・・という顔をされてますね?」
「はい、お遍路さんはよくお見かけますが、
人形を背負って周ってらっしゃる方にははじめてお会いしました」
「はは、実はこれ私の女房のつもりでして」
「奥さんの・・・?と言うと?」
「女房は昨年うつ病をこじらせて自殺しまして・・・
少しも女房の気持ちに気づいてやれなかったことが申し訳なくてね」
「それは・・・突然の事で寂しくなられて・・・」
その男性は埼玉の方から来たと話していた。
他愛ない会話、四国のここがいい、
とかそんな事を話していたと思う。
話に花が咲いて30分ほど喋っていただろうか、男性が
「そろそろ出発します」
と荷物を背負い人形を抱えた。
オレも田舎に昼までには着きたかったから
挨拶をして別れた。
「それじゃあ、僕も西の方へ行きますんで、また機会があれば。
お身体大事にしてください」
「ああ、どうもありがとう、キミも気をつけて」
コンビニの駐車場から出て、ミラーでお遍路さんを見る。
右手を振って挨拶してくれている姿に、
奥さんも一緒に周れたらよかったのにな・・・と思った。
次の瞬間、助手席のドアがガチャッと音を立てて開いた。
開いたといっても半ドアになっただけなんだけど・・・。
でも60キロくらいで走ってたから、
人やバイクに当たったら大変だと思ってすぐに路肩に車を停めて、
運転席から腕を伸ばして助手席のドアのリムをひっぱった。
ふぅ、とため息をついて運転席に戻りシートベルトをしめて、
安全確認、右のドアミラー、左のドアミラーと順番に見たら、
助手席側のドアミラーに一瞬だけ髪の毛が映った。
は!?と内心ビクッとしてバックミラーを見た。
遠くで、お遍路さんがオレが停まってるのに気づいて
また手を振ってくれている。
その後ろで人形の右手も一緒にゆらゆら揺れていた。
本気で怖くなってフルアクセルで走り出した。
ルームミラーを見るのが怖くて怖くてどうしようもなかった。
田舎に着いて、じいちゃんにコンビニで
こんなお遍路さんに会ったと話したら、
ため息をつきながら話してくれた。
「昔っから、人の形したもんには、
人の魂みたいなのがつきやすいって聞いたわ。
そりゃ死んだ奥さんの魂なのか、
全然知らん人の魂いれて歩きゆうがやろ」
「そんなバカな話、マンガやホラー映画じゃないんやから・・・・」
「アホ、藁人形もそうやし市松人形もそうじゃろうが?
人の形したもんは、安易に持ち歩いたりせんほうがええがじゃ。
そりゃその旦那さんは奥さんの事考えてそうしたがやろうけど、
周りに居るのが奥さんやとは限らんきの」
結局この後そのお遍路さんには会わなかったし、
知り合いのお寺にも来てないって言われた。
周りの店で聞いても、
「人形を背負った人らぁ40年ここにおって見た事ない」
と言われてしまった。
車のドアロックも異常なし、
それ以降身の回りにも異常はなし・・・・。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

怖いコミック

  • スマイリー
  • 恵と笑光による心笑会殲滅作戦、それは笑光自らの死と引き換えに信者達を道連れにする事だったーー。続々と命を絶つ信者達…眼前の光景に信じ難き驚愕で固まる幸福の案内人…そこに現れた鴨目...
  • たちよみ

怖い映画作品

  • 間宮夕貴 やわらかい卵 〜映画『甘い鞭』より〜
  • ショッキングでエロティックな大石圭の原作を石井隆監督が映画化した『甘い鞭』のメイキング。隣家に住む男に拉致監禁され、男を殺害し生還した奈緒子。得体の知れない快感を覚えてしまっ...
  • 2013年 / 間宮夕貴(最上ゆき)

怖い作品

怖いキーワード