不思議で怖い話

不思議で怖い話

本文の文字サイズ

鎖で縛られた祠

2019/04/22

『牛の首』という江戸時代から伝わる怪談があるが、
俺の田舎にもそれに類する伝説があった。
標高200メートルくらいの山があった。
山と言うより丘に近い感じだ。
地元の人たちはその山で、
春は山菜取り、夏は薬草取り、秋は栗、きのこの採集、
冬は子供達がスキーで遊ぶ
(ここは豪雪地帯で有名な、川端康成の小説の舞台にもなったN県です)と、
まあ、地域の人たちにとって無くてはならない山であった。
頂上につながる山道があるわけだが、
その途中が二股に別れていて、
地元の人たちは左側の山道には決して入ろうとしない。
誰も入らないからその道は雑草が生い茂り、
道があるかどうかも分からなくなる。
その道無き道を歩いていくと、
行き止まりは灌木に囲まれた平地で、
と言っても直径3メートルくらいしかなく、
そこには中学生くらいの背丈の木造の祠があり、
周囲が鎖で縛られて錠が掛かっている。
鎖も相当古くて錆びている。
(俺は実際に行って目撃した)
古くからの言い伝えによると、
この祠を開けて中を見ると、
あまりの恐怖に即死するか発狂してしまうので、
中がどうなっているのか誰も知らない。
『牛の首』と全く同じ話である。
ただ、鎖の掛かった祠を見た人は大勢いる。
怖くて中は見られない。
俺もその一人で、中学2年の6月、
同級生と連れだって祠のある場所まで登ってみたのだが、
鎖で縛られた祠を目の前にすると、
何か畏敬の念に襲われて、
祠に手を触れることも出来なかった。
帰宅してその話をすると、
祖父には罰当たりと叱られ、
唯物論的な父親には迷信を信じるなんて愚かだと
これまた叱られた。
その年の秋、その山に登ってきのこを採って、
山中できのこ汁を楽しんだ人たちが、
ツキヨタケの中毒で死んだり、
地元の高校生が冬山登山の練習で
心臓発作で死んだりするたびに(丘のような山なのに)、
俺はあの鎖で縛られた祠のことを思い出して背筋が寒くなる。
故郷を離れて20年近くなるが、
あの祠は今はどうなっているのやら。
興味のある人は、
N県M市、F日町、I沢地区の、
地元の人たちがB餅山と呼んでいる山の祠を訪ねてみてください。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

怖いコミック

  • 変な絵(コミック)
  • 【シリーズ累計120万部突破! 『変な家』の著者・雨穴の最高傑作を完全コミカライズ!】今野優太が保育園で描いた母の日のプレゼント用の絵。そこには、微笑む直美と優太、そして二人の住...
  • たちよみ

怖い映画作品

  • 劇場版 屍囚獄 起ノ篇
  • 室井まさねの人気コミックを映画化したエロティックホラーの「起ノ篇」。ゼミ合宿で山奥の寒村を訪れた教授と助手、そして美琴ら4人の女子大生。彼女たちは村人から熱烈な歓迎を受けるが...
  • 2017年 / 片山萌美 立花あんな 和合真一 なごみ

怖い作品

怖いキーワード