不思議で怖い話

不思議で怖い話

本文の文字サイズ

公園のベンチに座る女

2021/04/21

とある公園のベンチに毎朝決まって1人の女が通りに背中を向ける形で座っていた。女はどんな悪天候の日にも公園のベンチに座る事をかかさない。雨が降っても傘もささず、レインコートもまとっていない。

顔を見たことはないが、まだ若い女のようで、着ているものも高価そうだが、相当ひどい雨に濡れても平気らしい。女に誰かが近寄ったり、話しかけたりする光景は見たことがない。そして、帰宅する時には、ベンチから女の姿は無くなっていた。

やがて季節は変わり、木枯らしが吹き抜けるようになっても、相変わらず女は早朝のベンチに座っている。服装もたいして変わっていない。

そんな女を横目で見ながら1人のサラリーマンが通りを歩いていると、彼が首に巻いていたマフラーが突風にもぎとられて、公園の中に入り、女のすぐそばへ落下した。

その女がちょっと普通でない事を知っている彼は、すばやくマフラーを拾って、さっさとその場を離れるつもりでいた。しかし、この時ちらりと視線を女のほうへと走らせてしまった。

(…!!)

彼は腰が抜けそうになった。その女には顔が無かったのだ。その顔面は刃物でえぐられて黒い穴と化していた。しかし、絶叫しそうになった彼は、もう一度女をよく見てみた。

(…マネキン?)

そう、それは惨殺死体でもなんでもなく、顔のえぐられたマネキン人形だったのだ。長い間奇妙な女だと思っていたのはただのつくりものであったと知って彼はあっけにとられた。

しかし、公園から出て行く際に振り返ると、そこにいるのが人形だと分かっても、いまにも動き出しそうな本当の女に見えたという。

そして、翌日からベンチから女の姿は消えていた。まるで誰かが、一部始終を見ていたかのように…。

人形は1人では歩けない。精密なマネキンを用意して顔をめちゃくちゃにした上、毎朝公園のベンチに運び込んだのは誰なのだろう?そしてそれらの行為に何の意味があったのだろうか?それとも何の意味もないのだろうか?

その以来、その公園に、女が腰掛けている光景は全く見なくなった。しかし、公園なんて何処にでもあるものだ。誰かがベンチに腰掛けている公園なんて何処にでも…。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

怖いコミック

  • 俺のワクチンだけがゾンビ化した世界を救える
  • 人類の大半がゾンビ化した世界で、ひきこもりの及川優は天才科学者のサニーと出会い、人類を救う力を手に入れた! しかし、なんとその方法は、セッ●スすることでゾンビを人間に戻すというも...
  • たちよみ

怖い映画作品

  • 怪談のシーハナ聞かせてよ。2
  • お笑いタレント・狩野英孝が司会を務める怪談番組第2期をDVD化。多彩な語り手たちの恐怖体験や背筋も凍る怪談に加え、「怪談社」メンバーによる専門的な解説も収める。「廃マンション...
  • 2018年 / 狩野英孝 高田のぞみ せきぐちあいみ ぁみ 水沫流人 宍戸レイ

怖い作品

怖いキーワード