不思議で怖い話

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大事にしてたファーストミット

2019/07/11

俺が小学校5年生の頃、
スポ少の野球クラブだった時の事。
一つ上の先輩にYさんという人がいて、
レギュラーの一塁手だったんだ。
で、俺は1塁の控えだったから、よく話をした。
Yさんの家は母子家庭で、
母親の仕事が忙しくて試合の応援には来られないし、
家に車がないから、送り迎えの当番にも入ってなかったと思う。
それにスパイクは卒業生のお下がりで古かったし、
ファーストミットはクラブの備品をいつも使ってた。
背が高くてファーストの守備はうまいんだけど、
ミットがクニャクニャになってていつもやりづらそうにしてた。
それでも落球とかはまずなかったけどね。
そのYさんがある日、新品のミットを持ってきた。
たぶん買ってもらったんだと思うけど、
使った後は丁寧に砂を落として
クリームを塗ってすごく大事にしてた。
それが、夏前でもうすぐ大事な大会がある時期の練習の後に、
ベンチの下に忘れてったのを見つけたんだよ。
Yさんが帰ってからまだそれほどたってないし、
俺の家とは方向が途中まで同じだから、
ミットを持って追っかけていった。
Yさんがスポーツバッグを持って歩いてる姿が見えたんで、
走って追いついて
「ミット忘れてましたよ」
と言ったら、
ぽけっとした様子で俺のほうを見て、
「ああそうか、ありがと・・・でももう使わないんじゃないかな」
って答えた。
ミットは受け取ってバッグにしまったんだけど、
そのときの顔がすごく白かったのを覚えてる。
次の日も練習があって、Yさんに
「昨日、ミットを使わないかもしれないと言ってたけど・・」
という話をしたら、
「えー俺そんなこと言った?ぜんぜん覚えてない」
って普通に言う。
話はそれで終わって、俺も気にしなくなった。
で、Yさんはその日に帰ってから家で食中毒になって、
入院して2日後に亡くなったんだ。
もちろん自殺でもないし、犯罪とかでもないと思う。
それ以来、まあたまたまなんだろうと思うけど、
『もう使わないんじゃないかな』
という言葉が頭に浮かんでくることがある。
まあそれだけの話なんだけどね。

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