不思議で怖い話

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同級生の目撃談

2019/05/18

怖くはないけど、実際に体験した不思議な話。
大学二年の夏の日。
実家に帰省していた俺は、
祖母に頼まれてお盆で使う物を買いに行っていた。
隣町のホームセンターに車で向かう途中、信号待ちをしていると、
小学校中学校のときの同級生Aくんを見た。
横断歩道を渡っているAくんに声をかけるも、
気付いてないのか返事はなかった。
そんなに仲良くなかったし仕方ないかって思いながら、
俺は目的地に向かった。
その日の夜、地元の友人達と集まって遊んでいるときに、
「Aを見たよ」
となんとなく話してみると、
「俺も見た!」
「俺も俺も!」
と、何人もがその日にAを見ていた。
みんな中学卒業以来に見て、印象に残っていたらしい。
ある奴は、
「車ですれ違った。Aの家に止まってるバンだから間違いない」。
もう一人は、
「ローソンの駐車場でタバコ吸ってた」
と、皆それぞれ別の場所でAを見ていた。
おもしろくなった俺たちは、Aと遊ぼうということになり、
Aと一番仲のよかったBに連絡を取った。
Bに説明して、Aと遊びたいから呼んで来てくれと言うと、
Bは言葉を濁してはっきりしない返答をした。
わけを聞いてみると、Aとは最近連絡が取れなくて、
何をしているかわからない。
Aの実家に行って親に聞いてみても、
「最近は仕事が忙しくてあまり家に帰ってない」
ということらしかった。
仕事が忙しいなら仕方ないから、その日は解散した。
翌日、Aが死んだという連絡がきた。
自殺だった。
俺と友人たちは信じられなかった。
昨日見かけたAが死ぬなんて。
お通夜に行くと、同級生や先輩後輩、結構な人数が来ていた。
お盆だけあって、地元を離れていた奴らも帰省していたからだった。
斎場の駐車場で同級生が集まって、
皆信じられないといった話をしていた。
俺たちは、Aが死ぬ前日に偶然見かけた話をした。
すると、俺も私もと次々声があがった。
ほとんどの奴らがAを目撃していた。
「俺は墓場に行く途中にあいつのバンとすれ違って、
クラクション鳴らしたけど無視された」
「私は駅前の定食屋から出てきたときに偶然鉢合せして、
声かけたんだけど無視されたから、人違いだったのかなって」
Aは車内で硫化水素自殺を図っていた。
葬式で見た棺桶の中のAの遺体は、凄まじい色をしていた。
葬式に参列した中にも、Aを目撃していた人がたくさんいた。
同級生のお母さんは、
「私がパートしてるドラッグストアで洗剤買っていって、
それで死んじゃうなんて」
と号泣した。
先輩の消防隊員は、
「俺が一番に駆けつけたんだ。もっと早く行けたら救えたのに」
と号泣した。
虫の知らせだったのか、
Aと縁のある人はAの死の直前に目撃していた。
自殺の原因は、仕事場での人間関係だった。
あんなにAのことを見た人間がいるのに、
誰も少しの会話もできなかった。
「誰かと会話していたら自殺なんてしなかったかもしれないな」
と、中学の担任が言った。
Aの死後、地元の同級生たちは、
以前よりも連絡を取るようになった。
悩み事なんかを相談するために。
今年のお盆も、皆でAの墓参りをすることになっている。

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