視える子
2019/04/19
7歳の長男の話です。
いわゆる『視える子』らしいのですが、
彼から聞き出す話のことごとくが、
一般的な霊感体験談からズレてて興味深いんです。
長い髪の女や不思議な子どもなんかは一切見えないくせに、
「空中浮遊する目玉の親父まがいのもの」
やら、
「鬼火を引き連れて行進する骸骨」
やら、
「後ろ手に縛られてうなだれる鬼」
やらは、思い出したように見てくれます。
お前は鬼太郎か。
私としては、ぶっちゃけ彼の作り話でも構わないんです。
面白ければ。
これって親バカってやつなんでしょうかね。
今回の話は、先日いっしょにシャワーを浴びながら聞き出したものです。
お盆が近かったので、
「亡くなった父が帰って来るのは見えないもんかね」
と話を振ったら、
「おじーちゃんは見えないけど、一年くらい前にこんなことあったけど、
おとーちゃんに話したっけ?
おばけじゃないけど変なの見たよ」
と語ってくれました。
以下、長男の語ったおはなし。
お母ちゃんと公園に行ったら、
ぼくよりちょっと背が高いくらいのお兄ちゃんがいたんだけど、変だったの。
ぼくは背がちっちゃいから、
その子もあんまり大きい子じゃなかったと思う。
小学二年生くらいかなあ。
その横におじいさんが立ってた。
ジャージみたいな黒い服を着た、ひげのおじいさん。
首がすごく曲がってたの。
顔が胸の前に垂れ下がるくらい。
それで、お兄ちゃんと背の高さがまったく同じ。
ぴたっとくっついて立ってたから分かったんだけど、
おんなじ背の高さだった。
うん、おばけじゃないよ。
だってぼくが何回もちらちら見たのに、
ずっとはっきり見えてたもん。
話もしてたし。
そうだよ、お兄ちゃんに話しかけてたの。
えーっとね、たぶん怒られてた。
おじいさんが怒ってたの。
でもお兄ちゃんは、おじいさんとちがう方を向いて、はははって笑ってた。
ぼくだけじゃないと思うよ、
おじいさんに気付いてたのは。
みんなわざと見てなかっただけ。
おじいさんを見ないように、ちがう方向を向いてたの。
ちがうよ、みんな知ってたもん。
だって、公園にいっぱいいっぱい人がいたのに、
お兄ちゃんのまわりだけ人がいなかったもん。
みんな知ってたんだよ。
あのおじいさんは人間じゃないって。