不思議で怖い話

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海底を歩く人

2018/12/24

冬の海に飛び込み男女2名が行方不明、
そんなニュースを見て思い出した話。
私は子どもの頃、
夏になると母方の実家のある島に行き、
海で毎日素潜りして過ごしていた。
ある日、いつものように潜っていると、
海底を歩く人たちがいた。
スキューバ客ではないので驚いて慌てて陸に戻り、
「ダイビングのひとじゃないのに海の中歩いてるひとがいた!」
と母親に報告した。
「ああ、それ、体育大学の合宿のおにいさんおねえさんだよ」
母親はそう言いながら少し離れたところの団体を示し、
「そろそろ日が暮れるから帰ろうね。」
と、パラソルをたたみ始めた。
翌日、浜に行くとなんだかざわついていた。
昨日、合宿中の海の事故で体育大の学生たちが亡くなったと聞いた。
「えー、海で歩いてたおにいさんたち・・・あのあと?!」
と驚き、
海は怖いなあ、気をつけよう!と子供心に思った。
という話。
で、思い出して、
その違和感に今初めて気がついて震えてるんだけれどもね。
海中を歩いてた人たちがねー、
白い着物着てたんだけど、ええとさ、おかしいよね・・・?
白い着物着て、さらに沖に向かって海底を歩いてたんだよ。
「水着じゃないやー」
て思ったけど、
母親に
「合宿の練習だって」
て言われて、
「へー」
って納得してたけど、おかしいよ!
今怖いよー!
あの頃の私は雑で、母親はもっと雑だった。
あの頃海で一番恐れていたのはウツボで、
ほかはサメでも怖くなかった。
迂闊だった、どうかしてた。
30年遅れて届いた恐怖に震えがとまりません。

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