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もう一匹の猫

2025/07/08

去年の冬頃の話です。

家族が猫好きなのは小さい頃僕が子猫を拾ってきたからだと思う。
家族全員に懐いていたが、親にちゃんと世話をしなさいと言われたこともあり率先して世話をしていた僕に一番懐いていた。
就職し実家を離れることになり、他界した祖父の家で空家だった家をリフォームしそこで一人暮らしをする事になった。
半年経ち、実家では母が怪我をした野良猫を連れてきて飼うことになった。
二匹仲良くはあるが、一軒家で一人暮らしの僕によく懐いていた前の猫を飼ってみてはどうかと言う話になった。
僕は快諾して前の猫を引き取った。

猫は序所に新しい家に慣れていった。
風呂場の小さな窓を開けておき、いつでも出入りできるようにしておいた。
3日に一回ぐらいは僕の帰りを玄関や外で待っていてくれた。
猫も拾ってから20年近くたち老猫になった。
ご飯も少ししか食べなくなった。
冬になりあまり外にも出なくなった。
ご飯を食べない日が続き、病気かもしれないと思い病院に連れて行った。
20歳と聞いて獣医も少し驚いていた。
病気ではなく老衰だと云うことだった。
点滴を打ち様子を見ることした。
それでも冬を越せばまた元気になるかもしれないと思いご飯を食べない日が続けば点滴を打ちに病院に行った。
ご飯をまったく食べなくなり、仕事から帰って玄関でまってくれている猫を病院に連れて行くという日が続いた。
費用も嵩み、親や病院の先生からも老衰ならば仕方ないのではないかと言われていた。僕もそれはなんとなくわかっていた。
病院に行くのを止め、仕事から帰ったら鼻の頭にミルクを一滴づつつけ舐めさせた。

いつものように仕事から帰ると玄関で猫が待っていた。
いつものようにコタツの布団の上の自分の席に猫が歩いていくとそこにもう一匹の猫が寝ていた。
玄関から歩いてきた猫は寝ている猫と同じ場所に行き同じ格好をして寝た。
僕は涙が溢れてきた。
猫の隣で僕も寝て、猫に腕枕をして頭を撫ぜた。
少し「ゴロゴロ」と言った。
そして少ししたら「フッ」と息を吐いた。

一時間ぐらいそのままにしていたが、親に電話して泣きながら猫が死んだことを話した。

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