不思議で怖い話

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疎開先の神社

2019/06/10

叔父の話を一つ語らせてもらいます。
幼少の頃の叔父は、手のつけられない程の悪餓鬼だったそうで、
疎開先の田舎でも、畑の作物は盗み食いする、馬に乗ろうとして逃がす等、
子供達のガキ大将を自負するようなDQNでした。
さて、その疎開先には、地方にしては大きな神社がありました。
「今となっては何を祭っていたのかもわからん」
だそうですが、桜の木が何本も植えられていて、
春ともなれば正しく満開の桜が見物できたのでしょう。
また、聖域とでも言うのでしょうか。
「子供達がむやみに近づいてはならない」
という、暗黙の了解があったようです。
しかし、そこはDQNな叔父のこと。
「やってはいけない」
と言われれば、反発心が刺激されます。
ただでさえ娯楽の無い疎開先。
いずれは出ていくという気持ちもあったのでしょう。
一つのイタズラを実行に移す事にしました。
神社には、神様を乗せる(?)馬が飼われています。
これに乗って、神社の石段を駆け下りようというのです。
勿論、昼は大人達の目がありますから、夜のうちから神社に忍びこみ、
朝のお勤めの時に馬で駆け出す…みんなびっくり!
俺様の株、急上昇!(゜д゜)ウマーという作戦でした。
予定どうりに深夜部屋を抜け出して、神社へと向かう叔父…
満開の夜桜が近づくにつれ、叔父の耳に場違いな音が聞こえてきました。
ぽんぽん…ぽぽん…それはツツミの音だったそうです。
最初は大人達が酒盛りでもしているのかと警戒した叔父ですが、
こんな深夜の、この戦時中に、ありえない事くらい子供にもわかることでした。
神社に近付けば近付くほど、ぽん…ぽぽん…という音がハッキリ聞こえます。
鳥居の影に隠れ、中を覗く叔父。
そこには、ひどく幻想的な光景がありました。
風に散る夜桜の花びら、ツツミをうつおかっぱの子供。
くるくる…くるくると舞う1人の女性。
叔父は時間を忘れ、その光景に見入ったそうです。
この世の物とは思えない美しさでしたが、
どこかおかしな非常識さが叔父を正気に戻らせ、家へと逃げかえりました。
翌朝、昨夜の出来事を誰かに話したかった叔父は、
思いきって、神社の神主さんに全てをうちあけました。
話を全て聞き終わった神主さんは、
「声をかけたか?」「見つかったか?」など、
いくつか質問をした後で、叔父にニンマリ笑いかけたそうです。
「よかったなぁ…見つからんで、ほんによかったなぁ」
「ありゃ、この世の者でない…鬼じゃ」
今でも叔父は、酒が入るとこの話をします(苦藁
「S(俺)君、鬼はいるんだよ…」
まぁ、正直俺も信じてないし、オカルトとも微妙に違う気がすんだけど、
アホくさと思いながらも書いてみマスタ。

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