不思議で怖い話

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葛籠

2019/05/22

俺は幼稚園児だった頃、かなりボーッとしたガキだったんで、
母親は俺をアパートの留守番に置いて、
買い物に行ったり小さな仕事を取りに行ったりと出かけていた。
ある日、いつものように一人でボーッとしていたら、
誰もいないはずの台所でガタガタ音がするのに気がついた。
誰もいないはずだよね~と襖を少し開けて見てみたら、
見知らぬニーちゃんが二人、台所のあちこちの引き出しを開けてなんだか探していた。
泥棒だ!と驚いて、流石に怖くなって押し入れに隠れようとした。
窓から大声出して助けを求めようとは気がつかなかった。
押し入れの襖を開けると、漆みたいな色をしている大きな箱があったので、そこに隠れた。
しばらくして、台所方面の襖を開ける音がして、ボンボンと足音が聞こえてくる。
…そりゃ、泥棒もすぐ押し入れのでかい箱に気がつくよな。
部屋の真ん中に引き摺られる感触がして、蓋を開けようとして…開かない。
別に中から俺がなにかしてるわけでもないのに、
すぐ外から「ん!ん!」って声も聞こえているけど、蓋が開かない。
もう一人の小さな声が聞こえて、
ちょっとだけ開けようという力を感じたんだけど、すぐ静かになった。
ベテランの泥棒って、三分とか五分とか時間を決めて、
獲れるものだけ獲って、あとは諦めるんだってな。
それを知らないから、ずーっと息を潜めていたら、
しばらくして母親の驚く声が聞こえた。
警察を呼んで、結局泥棒は見つからなかったんだけど、
なんで俺が無事だったのか、みんな不思議がってた。
だいぶ経ってから母親から、その箱は『葛籠(つづら)』というものであり、
俺のバーちゃんがジーちゃんの家に嫁に来たとき、
嫁入り道具を入れていたもんだって聞いた。

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