不思議で怖い話

不思議で怖い話

本文の文字サイズ

道連れ

2019/01/28

終電間近の地下鉄の駅でのこと。
大学生のAさんは飲み会の帰りで、ほろ酔い加減で電車を待っていた。
あたりには人影はまばらだ。
と、そのときに目の前にいたサラリーマン風の50代くらいの男性がいきなりホームに落ちた。
あがってこようとしているようなのだが、彼もまた酔っているのかなかなかあがれない。
心配したAさんがのぞきこんだところ、そのサラリーマンと一瞬目が合った。
なにか釈然としないものを感じながら、Aさんは手をさしのべて彼を引き上げようとした。
サラリーマンは上目遣いで照れくさいのかニヤニヤしながらAさんの手をつかんだ。
そのときに電車の到着を告げるアナウンスの声が。
慌てたAさんはひきあげようとするが、まるでふざけているかのように
サラリーマンはあがってこようとしない。
このままだとAさんまでもが巻き込まれてしまう。
身の危険を感じたAさんは思わず手を振りほどこうとしたのだが、
手は一層強くつかまれてしまし、むこうは離してくれようともしない。
そのときAさんは気がついたのだ。
こいつはオレを道連れに死のうとしているのか?
その時。
「危ない!」という声とともに誰かに肩をつかまれて、ホームの上に引き戻された。
ほぼ同時にホームに電車が入ってきて、Aさんは難を逃れることができた。
「危ないところでした。もう少しで落ちるところでしたよ、酔っ払っていたんですか?」
Aさんを助けてくれたのは一人の駅員だった。
まだ驚きで口の利けないAさんにむかって、駅員は更に続けた。
「ここ、柱の影になっていて危ないんですよね・・・
先月も今くらいの時間に、50歳くらいの
サラリーマンが酔って転落しちゃったんですけれども、誰も気がつかなくってそのまま・・・」
やがて電車が止まり、ドアが開いた。最終電車だった。
Aさんはそれに乗り込んだが体の振るえがまだとまらなかった。
窓からぼんやり眺めていると、いつのまにか先ほどのサラリーマンがホームに立っており
憎憎しそうにこちらを睨んでいる姿が小さくなっていくのが見えた。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

怖いコミック

  • 庭に穴ができた。ダンジョンかもしれないけど俺はゴミ捨て場にしてる
  • 街で連続殺人犯が逃亡した。社員は不安がっているが、そんなことより今日は「穴」に関する重大な試験の日。穴に捨てるテスト用のドラム缶を持ち上げたら、なぜか中身が動いた気がする。穴がも...
  • たちよみ

怖い映画作品

  • 劇場版 屍囚獄 起ノ篇
  • 室井まさねの人気コミックを映画化したエロティックホラーの「起ノ篇」。ゼミ合宿で山奥の寒村を訪れた教授と助手、そして美琴ら4人の女子大生。彼女たちは村人から熱烈な歓迎を受けるが...
  • 2017年 / 片山萌美 立花あんな 和合真一 なごみ

怖い作品

怖いキーワード