不思議で怖い話

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息遣い

2019/01/22

数年前、栃木県の地方の病院に勤めていた時のことです。
その日は仕事でおそくなり、
病院を出たのは夜10時を過ぎていました。
家は病院の職員住宅で、
病院とは300メートルばかりのところにあり、
その日は歩いての帰宅になりました。
途中かなり広い道路なのですが、
9時を過ぎると街灯が消されてしまい、
足下も暗くなってしまっています。
道路のまわりは田んぼでちょうど田植えが終わった時期でもあり、
水田になっていました。
私は帰宅を急ぎ、やや早足で歩いていました。
ふと、5メートルほど先を白い服を着たおじいさんが杖をついて、
ゆっくり歩いてるのに気がつきました。
おじいさんとの間隔はどんどんつまってきます。
すぐに追い付きそうになりました。
で、それにしてもおかしいと思いました。
街灯が消えているといっても、薄明かりぐらいあるし、
人がいたのなら最初から気付いているはずなんです。
道のわきの田んぼも人がかくれられる所はないですし。
そう考えたら背筋に寒気が走りました。
まあ、暗がりの中を独りで歩いているのですから最初から恐いなあ、
とは思っているわけなんですけど。
意表をつかれたこともあり、
もしかしたらこの人はこの世のものではないのかもしれない、
そんな感じがしてドキドキしながらもついに追い付きました。
追い抜くときにその人にならびました。
で、背の低い腰の曲がったおじいさんでしたが、
人間の存在感というか息遣いを感じることはできました。
抜き去る間のほんの一瞬でしたが。
ああよかった、やっぱりこの世の人だ、普通の人だと、
ひとまず安心できました。
そして自分とその人との距離は
どんどんひらいてゆくのでした。
と、その次にまた凍りついたんです。
あれ、足音が聞こえない、おかしいぞ、と。
そう思うやいなや、怖いものみたさで、
反射的に振り向きました。
するとなんというか・・誰もそこにはいなかったのでした。
もちろん人がかくれられる様な場所ではありません。
消えてしまったとしか思えません。
やっぱり第一印象のとおりだった。
この世の人ではなかったのだと思います。
でも、追い抜く時には人間の存在感をはっきりと感じたのです。
それは人の気配というよりももっと強く、
確かに息遣い、体温とかの
はっきりと実体を持ったものとして感じられたのですが。
不思議な体験でした。

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