不思議で怖い話

不思議で怖い話

本文の文字サイズ

川の上流

2018/12/04

夏なのでひとつ。
その年は数年ぶりかの猛暑で、当時小学2,3年だった私は
あまりの暑さに耐えかねて、学校の帰りに公園にでも寄って行こう、
と一緒に帰っていたCを誘った。
その公園は人工的に川が作られていて、
最初は割と流れがきれいなところで足だけ水に浸したり、
葉っぱの船を流したりしていたが、
そのうち私はもっと上流へ行ってみたくなってきた。
Cは
「そっちいくと怒られるよ」
といって気乗りはしていなかったが、上流の脇の道は、
ちょうど家の近道でもあったので(しかも木があって涼しい)
結局一緒に来ることになった。
軽い坂道を登るとすぐの距離に水源があった。
水源といっても循環式なので、
ひたすら藻が多いちょっとした池のようなところで、
割と深いらしく中に
「危険につき立ち入り禁止」
の札が立てられていた。
奥の方で、どろどろと力のない小規模な滝が落ちている。
回りに木が多いせいもあってか、
全体的にどことなく薄暗く淀んでいる雰囲気だった。
「怖いよー」
とおびえるCに、さすがに私も気味が悪くなり、
「もうかえろっか」
といいつつCの方へ振り返ってみて、瞬間凍りついた。
そこにいたはずのCはいなく、代わりに私の半分くらいの背丈しかない、
赤い顔のおじいさんが無言で私を睨んでいたのだ。
(変な人だ!)
逃げなきゃと思い、走り出したかったが足がなかなか思うようにならない。
反射的に後すざりして離れようとした。
「危ない!!」
その一言で、はっと我に返った私は、
今にも池に落ちそうになっている自分に気付いた。
目の前にいたおじいさんは気が付くと消え、
その代わりにびっくりした顔のC。
「どうしたの?」
と不思議そうなCを連れて、泣きながら走って家まで帰った。

にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

よろしければ応援お願いシマス

怖いコミック

  • さるまね
  • 村同士が統合するも未だ混乱が続く中、村の実権を握ろうと画策する義作は考えた【毒餌】の策がうまくはまり、猿を追い払うことに成功。村人から頼りにされ、悦に浸る義作。しかし、その策が原...
  • たちよみ

怖い映画作品

  • 放課後の怪談 3
  • 2012年 / 佐藤さくら 小柳こずえ 黒田光彦

怖い作品

怖いキーワード