不思議で怖い話

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いもうと

2018/11/07

俺の家にいもうとが居て、いもうとと言っても人間じゃなくて、
何か赤ん坊くらいの大きさがある、照る照る坊主みたいな奴だった。
下の方のスカートみたいな部分を丸く結んだ感じ。
まあつまり、『i』みたいな形の奴。
それを母親は「いもうと」と呼んでた。
俺がずっと小さい頃からそうだったから、
幼稚園の頃まで俺は『あれ』が妹なのだと思ってた。
幼稚園にいる他の子で「妹がいる」と話す奴が居ると、
あいつの家も『あれ』があるんだと思っていた。
俺の家の『いもうと』は、食卓に座ったり、
ソファに腰掛けたり、家族として扱われているようだった。
食事時になると、母がそれを椅子の上に置いたりしてた。
そして、「いもうとが置いてある」みたいに俺が言うと、
母はいつも怒った。
『座る』じゃないと駄目らしかった。
ある日。幼稚園で何かの拍子に、
『妹』は普通『人間』だと知って、母に尋ねた。
「あれはいもうとじゃないよね?」
みたいな風に。
そしたら母は猛烈に怒った。
「ふざけるな、何を言ってる。あれは絶対“わたしたちのいもうと”なんだ」
と。
後から考えると変な言い方だった。
『わたしたちの』
こっぴどく叱られた後、それでも懲りず父親に同じ質問をした。
そしたら今度は、普段元気な父が、
何か言いたいが言えないみたいな顔になって、
何も言わずに部屋にこもり、丸一日出てこなかった。
小3の時に、父が死んで三日もしない内に、
母親と一緒に近くの山へ車で行った。
見晴らしのいい崖みたいな所で車が止まった。
いつも『いもうと』は外出しなかったけど、
この日だけは車に乗ってた。
母は車から『いもうと』を降ろし、
「あんたはここに居なさい」
と言う。
何をするのかと思ってたら、
いもうとの首と胴体がくびれてる部分を、
ばちんとハサミで切って、投げ捨ててしまった。
母はいつも『いもうと』を大切に扱ってたから驚いて、
「いいの?」と訊くと、
「おとうさんが死んだから、もういいの」
と言われた。
それから、母との間で『いもうと』の話は一切出なかった。
あれは一体何だったのか尋ねようとしたけど、
先延ばしにしてたら去年母が死んだ。
この話、友人に話しても何が怖いのか訊かれる。
俺自身は結構怖い。
何かの宗教とも思えないし…。
何か解る人いない?いなさそうだけど。

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